「…相沢! 俺たち、友達だったんじゃないの!? こんな事したら、もう友達じゃいられなくなる!」
「それでもいいよ、どうせもう会わないんだし」
「ヤだ! 離れてても、友達は友達だよ!」
「うっせーなぁ、いちいち正論振りかざすなよ。お前みたいなイイ子見てると、ぶっ壊してやりたくなるんだよ!」
「離せっ、このっ…! 水谷っ、水谷…!」
「いねーよ! お前が拒絶したんだろうが!」
俺がずっと暴れ続けるせいなのか、相沢の顔から笑みが消えた。
苛立ちをぶつけるようにして怒鳴ってきたけど、それに怯むわけにいかない。
こんな状況になったのも、俺が悪いの?
何で、俺はただ、友達として普通にしてただけなのに…!
「いいだろ、たった1回の浮気ぐらい。今までだって、どうせ水谷とエロイこといっぱいしてたんだろーが」
「はぁ!? 何を…!」
「その数ある内、たった1回が俺になるだけだ。それでも嫌なら、目ぇ瞑って、俺が水谷だって思ってればいいだろ」
「そんなの無理に決まってんだろ! 大体、水谷はこんな手荒なコトしない!」
「はいはい、もうノロケは聞きたくねーんだよ! 俺が、どんな気持ちでお前の事…!」
「え…?」
辛そうな顔で、小さく吐き出した言葉。
それでもしっかり耳に届いて、思わず聞き返してしまう。
相沢の気持ちって、何…
そう思ったのも束の間、誰かの走ってくる足音が近付いてきた。
もしかして、阿部が戻ってきてくれたのかもしれないと顔を上げると、開いたままのドアを抜けて立っていたのは…
無表情の、水谷だった。
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