・ ・ ・
「…あーあ。明日で最後だって思うと、やっぱ寂しいなぁ」
「そうだねぇ。3日いれば、情が移るって言うし」
1組の教室、廊下、体育館、音楽室…ぐるっと回りながら、あちこちに残る思い出話に花が咲く。
あの時はああだった、ここであんな事あったよな、そう言いながら校内を歩いて、また1組に戻って。
反対の校舎の明かりを見ながら、お互いに自分の席に着く。
こっち側の校舎では 職員室にしか明かりがついてなかったけど、向こう側にはいくつか電気がついていて…雨に反射して、時折光が瞬いてる。
わざと電気はつけずに、暗い中その明かりを見る。
ザアザアと降りやまない雨に、酔いたいような気分だったから。
「あっち戻って、ついてけっかなー」
「頭いいとこなの?」
「ココよりは、ちょっとだけな」
「ふーん。でも、相沢成績いいじゃん」
「まぁな。ラクしたいから西浦選んだだけだし」
「うわー、スゲェ嫌味!」
ははははと笑いながら、ふと携帯に表示されてる時計を見る。
もう6時半か… 水谷、今頃ご飯食べてるのかな…
って、もう! また水谷の事考えちゃってるし!
「…そろそろ帰ろっか?」
「そーだな。何か用事あんの?」
「水谷の家に行こうかな、って…」
「え? あぁ、仲直りしに行くの?」
「うん… 明日にしようかと思ってたんだけど、早い方がいいと思って…」
「ふーん…」
っていうのは、半分ウソ。
俺が、ただ単に水谷に会いたいだけなんだ。
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