* * *


「ありがとうございました〜」

店員に明るく見送られて、2時間歌った後 カラオケ店を出る。
結局、最後まで巣山は来なかった。急用が出来たとか何とかで、また相沢にメールが来たらしい。

それに、最後まで相沢が文句言ってて…宥めるの大変だったな。
まるで水谷みたいに、と また水谷の事を思い出して、苦笑してしまう。
自分で放っといてなんて言ったくせに、ダメだなぁ、もう。

「あー、明日で終わりか… 最後だし、学校でも見に行かね?」
「いいけど、今から?」

「おー。まだ部活やってる奴もいるんじゃね?」
「そうだね。んじゃ行こっか!」

吹奏楽部とか、文化部ならやってるかもしれない。
まだ6時前だし、8時の閉門には間に合うから大丈夫かな。

てくてくと歩きながら、ふと水たまりに映った淀んだ雨雲が目に入った。
まるで、今の俺の気持ちそのものだな…なんて思ってると、相沢がそんな俺に気付いたように肩をポンと叩いてきた。

「ンな顔すんなよ。俺と離れるからって」
「…ははは! 違うっつの!」

相沢のボケに、笑ってツッコむ。
いつでも雰囲気を明るくしてくれる相沢には、今までもよく助けられてきたよなぁ。

そう感謝しつつ、会話の流れで学校に着くまで水谷の話になった。
最初は愚痴っぽくなってたけど、話してる内にどんどん水谷への寂しさが募ってきて、後半はノロケみたいになっちゃって。

それに、相沢は「ノロケうぜー!」って言いながらも、ずっと聞いてくれた。
明日の昼休みで最後なんて、本当に寂しい。

転校先も県内だし、たまには会えるかな!



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