* * *


…今頃、栄口は相沢達と遊んでるんだろうなぁ。
放課後の教室、ボーッと座りながら窓の外の雨雲を見る。

ここにいたって栄口がいるわけでもないから、さっさと帰ればいいのに、帰る元気がないんだ。
栄口がいないってだけで、こんなに無気力になっちゃうんだなぁ…はーあ…

「お前、まだ残ってたのか」
「あー、阿部ぇ〜…」

「うじうじ栄口の事考えてたんだろ」
「はいそうですよー、すいませんねーだ」

呆れたような顔してる阿部に、子供みたいに言い返す。
すると、阿部が ハァ、とため息つきながら前の席に座った。
もしかして、愚痴聞いてくれるっぽい?

「…阿部〜、俺が心配しすぎなのかなぁ?」
「たぶんな」

「だって、栄口可愛いんだもん… 他人の事すぐ信用するし、みんなイイ人だと思ってるし…」
「そうだな」

「阿部もそう思う?」
「可愛いかどうかは置いといて、そういう節はあるな」

淡々と返事する阿部だけど、こうやって話を聞いてくれるのは有り難い。
いつもイジってくるけど、根はいいヤツなんだよね!

「ああいうのは、1回痛い目に遭わないとダメだな。身を持って知るタイプだ」
「痛い目って…」

「それに、あの相沢って奴。前に沖と話してるの見たな」
「へー、沖と? あ、巣山繋がりかな」

「そうだといいんだけどな」
「え、何? 何なのその気になる言い方!」

「そいつがバカみたいにコミュ能力が高いのかもしんねーけど、わざわざ他のクラスにまで話に行くか?」
「うーん…」

阿部は何を感じてるのか分からないけど、表情を見るとあんまりいい話じゃないっぽい。
何が言いたいんだろう?

「ま、俺の考え過ぎかもな。お前の心配性が移ったわ」
「えー? 教えてくれても…」

「あ、あべ君!」
「ん? おぉ、三橋」

阿部を迎えに来たのか、三橋と田島が一緒にやってきた。
話も終わりにされちゃったし、俺も帰ろっかな〜…

あーあ、栄口ぃ〜…



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