・ ・ ・


「…水谷と喧嘩したんだって?」
「ん…」

戻った1組で机に突っ伏して座ってると、相沢が心配そうに話し掛けてきた。
廊下で大騒ぎしたせいかな…相沢本人にまで知られるなんて。
あーあ、何でこうなっちゃったんだろ…

「だって、束縛するんだもん。俺の事、信用してくんないし…」
「ふーん… それはウザイよなぁ」

相沢がふと投げかけた批判に、ちょっとだけムッとする。
それでも、今の俺には反論する気力は残ってなくて。

「もしかしなくても、俺のせいだよな… 遊ぶの止めっか?」
「…いいよ、行く。ストレス発散したい気分だし!」

そう話してると、巣山が遅れて席に着いた。
俺がむくれてるのに気付いて、理由聞いてきたけど…あんまり話したくない。
俺が黙ってると、相沢が取り繕うように話題を変えてくれた。

「巣山は、普段カラオケに行くのか?」
「そんなしょっちゅうじゃないけど、たまにな」

「沖と?」
「えっ、何で知ってんの?」

「栄口から聞いた」
「オイ!」

「…はは、ごめん〜。いいじゃん、これぐらいなら」
「そうだけど…」

水谷の事は気になるけど…今は、一緒にいても傷つけちゃうだけだ。
お互いに頭が冷えるまでは、会わない方がいいよな…

「何歌おっかな〜。巣山の美声聞くの久しぶり!」
「美声って、誰の事だ?」

「何だ、歌声は美声なんだな」
「歌声は、って何だよ」

何気ない、いつも通りの会話。
さっきの事を思い出さなくていいから、ホッとする。

…そうだ。
今は、水谷の事は考えないようにしよう。
すぐに仲直りしても、相沢がいる内は、また嫉妬されるかもしれないし…


心の隙間に入り込んできた暗い影に気付かないふりをして、
いつもよりもテンション高く、歌う曲について盛り上がった。




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