「水谷だって、人の事言うけど自分だってそうじゃん! 女の子にちやほやされて喜んでるくせに、俺の事になると躍起になってさぁ!」

「ち、ちやほやなんてされてないよ!?」

「ほら、気付いてない! 教室にいると、いっつも女の子の輪の中に入ってるじゃん! それなのに、俺は巣山と二人で話してるだけで割って入ってくるし…!」

「そ、それは…」

「大体、相沢と何かある訳ないだろ! そもそも、友達なんだから!」

ハァハァと息荒くなりながら、水谷を責める言葉が止まらない。
言い過ぎだ、もう止めよう、謝らないとと思ってるのに…ブレーキが壊れたように自制出来なくなってる。

「もう、俺の事なんて放っといてよ! 水谷に心配されなくたって、大丈夫なんだから!」

「さ、栄口…」

「水谷なんて知らない! 勝手に一人で心配してれば!」

水谷の顔も見れずに、そのまま1組へと走り出す。
視界の端っこで、阿部と花井の驚いてる顔が見えた。
一瞬目が合ったけど、走る勢いそのままにすぐに目を逸らす。

自分が約束破ったくせに、逆ギレするなんて…そう自分を責める心の声と、

そもそも水谷が普段から束縛するから悪いんだ!っていう声がごっちゃになって、

もう自分でもコントロール出来ない。


「ばか水谷…!」





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