・ ・ ・


織田の部屋には、目的の人物ではなく、宮川と柊がいた。
俺の形相を見て、驚いて固まっている。

「織田は!?」
「えぇ? お、織田なら、外に出たまんま帰ってないけど…」

「外ってどこだよ!?」
「うわっ!」

宮川の服を掴んで揺らすと、持っていた雑誌がバサっと落ちた。
反射的に見ると、それはこないだ畠と見つけた、エロ本だった。

「わわわっ! ち、違うって! これは俺じゃなくて、柊が買ってきたんだよ!」
「な! お前も見たいっていうから、見せてやってんじゃねーか!」

ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人だが、そんなことは今どうでもいい!

「これ、織田のじゃないのか…?」
「え? い、いや。俺のだけど…」

「何でだよ! 何でお前のが、織田の部屋にあるんだよ!」
「ちょ、落ち着けよ叶!」

「何でさっきからキレてんだよ!」
「いいから教えろ!!」

俺の大声に二人はビクッと驚き、渋々にだが話し始める。

「だ、だから、こないだ俺と柊と織田の3人で、本屋に試験対策の参考書買いに行ったんだけど…」
「織田の袋と間違って持って帰っちまって、そのままにしてたんだよ… この袋透けないから、途中で混ざったのに気が付かなくてさ」

「それで…!?」
「す、すぐに取り替えようと思ったんだけどさ! 織田の参考書をちょっと見たら分かりやすかったから、ちょっと1日借りてたんだよ! 織田も別にいいって言ってたし…!」

「マジかよ……」

俺の、勘違いだったのか…?

『俺、女子の方がいいや』
『男同士なんて、不毛だろ』
『やめにしようぜ』

俺の早とちりで、あんなこと…


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