「やだ! やめろ!!」
「何やねん。俺ら別れるんやろ?」
「な! それとこれと、何が関係してんだよ!」
必死に制止しようとする俺に、織田が低い声で言った。
「体だけでもええ。そーゆーことや」
頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を受けた。
織田は今…何て言ったんだ?
「俺はなぁ、叶が好きで好きでしょーがないんや」
「……」
「でも、女子のええっちゅーなら、心が手に入らんなら… 体だけでもええって言うてんねん」
「……な、何言ってんだよ! 俺はやだ! そんなの、絶対…ぅわっ!」
首筋をぺろりと舐められる。
ひんやりした倉庫と反対に、織田の舌はとても熱く感じられた。
絶対に嫌だ、このまま流されてしまうなんて!
織田の頭をぐいぐいと押して抵抗する。
すると、ぐいっと両手を頭上に持ち上げて押さえつけられ、俺の抵抗は意味のないものになった。
「織田!やめ、やめてくれよっ…!」
「やめへん。叶が悪いんやで」
「やだっ! やだ、怖い…! やだ…っ!!」
「……!」
叫びながら、俺はいつの間にか泣いていたらしい。
勝手に涙が溢れて止まらない。
違う。俺はこんなの望んでない。
確かに織田に近づきたいって思ってたけど、こんなんじゃない。
織田に両手を掴まれているため、流れる涙を拭うこともできずに…ただ頬が濡れていく。
すると、俺の泣き顔を見てなのか、両手を離してくれた。
「何やねん… ホンマに……」
か細い声で呟きながら、脱がされたシャツをバサッと投げつけてくる。
「泣きたいのは、こっちやっちゅーねん……」
織田が背を向けて、体を震わせている。
泣いてるんだろうか。俺が、泣かせたのか…?
「お、おだ……」
「呼ぶな」
「名前なんか呼ぶなや」
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