「キスとか、いつした?」
「な! しゅ、しゅーちゃ…!」

「どこでしたの? やっぱ阿部から?」
「え、えぇぇえぇ…!?」

「キスしてる時って、何考えてんの?」
「ああああああの、ちょ、ちょっ…!」

俺の矢継ぎ早の質問に、三橋はついてこれずに恥ずかしがるだけだった。

…分かってるんだ。
こんなことしても、無駄だってことは。

三橋と俺を比べても、阿部と織田を比べても、意味がない。
でも、このもどかしい毎日を変えたくて。
織田の行動に、いちいち一喜一憂する自分が嫌になる。

「あの…」
「…ん?」

「俺は、阿部くんと、その、キキキ、キスしてる、とき、は…」
「うん…」

「阿部くんのこと、大好き、だ、って思いながら、して、ます…」
「……へー」

最後の方はほとんど聞き取れないくらいの、小さな声だった。
でも、相手をちゃんと好きだって言える三橋が…ちょっと憎らしい。

「そ、っか…」
「あの、しゅーちゃん…?」

「わりーな、突然電話して」
「え、あの」

「畠が呼んでるから切るわ。んじゃ、また電話すっから」
「あ、うん!」

「テスト頑張れよ、じゃな」
「う、は、はい… ま、またね!」

切った携帯を、ベットに投げつける。

三橋がムカついたわけじゃない。
嫉妬と情けない気持ちを振り切りたくて。

テスト期間中の今、こんなことしてる場合じゃないのに。
机に山積みされている教科書やノートを見て、またうんざりする。


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