洗いざらい吐露した後は、少しの沈黙。
その沈黙を破ったのは、栄口さんの小さな笑い声だった。

「…なるほど。分かりましたよ、先生の気持ちは」
「…何で笑ってるんですか? 僕は、真剣に…」

「俺だって真剣だよ。でも、先生言ったじゃないですか、今。俺たちと一緒にいたいって」
「言いましたけど、それは…」

最初の部分しか聞いてなかったんじゃないかっていう嫌な予感が頭をよぎったけど、少し強めに肩を抱き寄せられて…体が無意識にビクッと反応してしまった。

「つまり、俺たちのことは好きだけど、まだ結婚するには早いってことでしょう?」
「…まぁ、一言で言ってしまえば、そうですけど…」

…こんなにアッサリ結論づけられてしまって、いいんだろうか。
それとも、お母さんの言う通り、僕が難しく考えすぎてるだけなのかな。

「こないだ、ゆうとに聞いたんですよ。お母さんってのは、どういうモノかって」
「はい…?」

「ゆうとは…いや、子供たちは、結婚うんぬんってのは、どうでもいいんですよ。ただ、傍にいてほしいだけなんです。貴方に」

そう言って微笑む栄口さんは、さっきまでの真剣な表情ではなく、むしろ穏やかで…優しい雰囲気になっていた。

「子供たちは、先生といるだけで満足なんです。言い方を変えれば、結婚しなくても大丈夫ってこと」

「え? そ、それって…」

「あぁ、勘違いしないで下さいね。結婚はしたいですよ、もちろん」

ふふっと微笑まれて、肩に置いてある栄口さんの手で、もっと深く抱き寄せられて…また、ドキンと胸が高鳴った。

「いい方法があるんですよ。結婚しなくても、一緒にいれる方法」
「…そ、そんなのあるんですか?」

「えぇ、ありますよ。本当は、もっと早く言い出したかったんですけど…いいタイミングがなくて」
「タイミング?」

「先生、子供たちばっかり相手にするんですもん。夜は夜でしたいこともあるし?」
「なっ…!」

ビックリして見ると、栄口さんのニヤリと笑った顔が、なんとなくいやらしさを含んでいて…頬にかああっと熱が上ってきた。
こ、こんなに大事な話をしてるのに、何を…!

「それで、その方法なんですが…」
「はぁ…?」




* * * *


[*prev] [next#]
7/11

目次に戻るTOPに戻る





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -