ゆうな「…わたし、かえる。…せんせー?」

西広「ん…?」

ゆうな「…ごめんなさいっ!(走)」

西広「あっ! ……」


梶山「…失礼しまっす(部屋:入)

西広「……ぁ、はい…」

梶山「顔面蒼白ッスね。大丈夫スか?(座)

西広「…は、はい… 大丈夫、です…」

梶山「立ち聞きは悪いと思ったんスけど…気になって…」

西広「…情けないですよね…子供に、お説教されてしまいました…」

梶山「子供ですけど、子供じゃないスよ、あの子は」

西広「え…?」
 
梶山「あの子も大変なんじゃないスかね。聞いた話じゃ、家のことほとんどお手伝いしてるらしいじゃないスか」

西広「そ、そうみたいですね…」

梶山「朝は目覚ましかけて起きて、みんなのパン焼いて、ゆうとのお弁当箱にご飯詰めてるの、お姉ちゃんらしいスよ」

西広「どうして、それ…」

梶山「たまたま、西広先生がいない時に、親父さんと喋ったことあるんス。お姉ちゃんには、いつも助けてもらってるって」

西広「そう、ですか…」

梶山「まだ7歳ですけど、涙ぐましいじゃないスか。全部自分から言い出したそうッスよ。お父さんは疲れてるから、朝はいっぱい寝てていいって」

西広「ゆうなちゃん、優しいですから…」

梶山「優しいッスねぇ。だけど、その優しさに、大人は甘えちゃダメだと思うんスけど」

西広「…甘え、……」

梶山「何だって許容量があるでしょ。子供の許容量なんて、高が知れてる。さっきのアレだって、もう限界超えたから…これ以上傷つきたくない為の自衛ッスよ」

西広「…自衛、ですか…」

梶山「でも、あの子は賢いスね。自分が家族を守るって言ったのに泣いたのは、自分がそれを出来ないってのを、本当は分かってるからじゃないスか?」

西広「………」

梶山「自分が子供だってことも、あの子は分かってる。守りたいのに守れない。そんな自分を責めてるように見えましたよ。先生のことを責めてるんじゃなくてね」

西広「そんな…!」

梶山「最後に先生に謝ったのも、先生が傷つくのを分かってるからでしょ。相手の気持ちも、考えられるんスねぇ。あんなちっさいのに、出来た子ッスよ。よいしょ(立)

西広「…すいません、僕…」

梶山「…謝る相手が違うッスよ。それに、今西広先生がすることは、謝ることじゃない。あの子に…あの家族に、誠意を見せることじゃないスかね」

西広「誠意…って…?」
  


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