情事にふける前には。

必ず、
周囲の確認をしておかないとな。


●●目撃者・H●●●


どうしてこうなった。
そんなこと、今更後悔しても遅すぎる。

時は昼休み。
俺と田島は、暗くて狭い部室の掃除用具ロッカーの中で、密着して身を潜めている。

かくれんぼとか、そんな可愛いもんじゃない。今俺たちがここに居ることがバレたら、どうなるのか分かったもんじゃない。
ある意味、緊迫してるんだ。

「さかえぐち、かわいぃ…」
「…はっ、ん…」

1cmほど薄く開いた扉の向こう、水谷と栄口がおっぱじめているからだ。
もちろん、俺たちがいるなんて全然気がついてない。いや、気づいてるなら そんなんしないだろう。

最初、部室に来た時は俺たちだけだったんだ。しかも、こんな狭い場所に入らず、普通に座ってイチャイチャしてて。

だけど、俺はウッカリしてた。
部室の鍵を閉めるのを忘れてたんだ。それに気がついたのは、水谷たちが仲良さげに会話しながらの足音だった。

何も隠れなくても、って思うだろうけど、俺たちだってイチャついてたわけで。
田島がすっかりその気になって、俺がこいつのパンツん中に手を突っ込んでるトコだったんだ。

たったの5秒じゃ、いくら俺でも何も処理できない。だから、慌ててここに入ってしまったってワケだ。
 


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