あんまり
甘やかしちゃいけないって。

分かってるのになぁ。


●●わがまま わんこ●●●


「栄口ー、明日は当番?」
「うん、そうだけど」

じゃあ、家に行ってもいい?って可愛く小首傾げて聞いてきたのは、水谷じゃなくて泉。
特に予定もないから、いいよって返事したのはいいんだけど…水谷は納得できなかったみたい。

「えー!? また泉と遊ぶの!?」

水谷にも、泉と同じように遊びに来たいっていうのだったんだけど…泉と約束したのは、昨日。
水谷の方が、一歩遅かったんだよね。

「栄口ー、一緒に帰ろうぜー」
「あ、うん…」

タイミング良くなのか、悪くなのか。
泉に声をかけられて、水谷の機嫌は目に見えてますます悪くなっていった。

あーあ。
また喧嘩になっちゃうかも。

「ちょっと泉!」
「は? 何だよ」

…やっぱりな。
口喧嘩でも泉に勝ったことないくせに、食って掛かっちゃったよ。

「泉は浜田さんと遊べばいいじゃん!」
「はぁ? 何でそうなるんだよ。ていうかお前に俺が誰と遊ぼうが関係ねーだろ!」

泉も、泉なんだよなぁ。
売られた喧嘩は、必ず買っちゃうっていうか…。

「関係あるよ! だって栄口の問題は俺の問題だからね!」
「アホか。栄口の問題は栄口の問題なんだよ! クソレがいちいちでしゃばんじゃねーっての!」

…あーあ。
クソレって言っちゃった。

「クソレェェエェ!? 前から思ってたけど、何で泉にまでそんな風に言われなきゃなんないの!? ていうか今レフト関係ないし!」


「お前のアホ加減をレフトに例えてやったんだよ! 悔しかったら阿部に褒められてみろ! 花井を感動させてみろ! 田島を超えてみろってんだ!」

ギャーギャーと喚く二人を、同じく部室にいるみんなは知らん顔。これがいつもの日常って言ってしまえば、そうなんだけどね。

「あー、分かった! 浜田さんに構ってもらえないから栄口んとこ行くんでしょ! そんなキツイ性格だからそうなんですー!」

「はぁ!? お生憎様、俺達は至って普通にラブラブしてますー! 今日だって別に構ってもらえないわけじゃなくて、浜田がバイト入っちゃったからですー!」

…ははは。
ほっといたら、いつまででもやってそうだね。ここは、やっぱり俺がまとめないと…。


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