恋は盲目。
友情を超える境界線は、
自分には見えないのかもね。
●●ボーダーライン●●●
昼休み。
陽射しが強いこの時間、沖と二人、窓際の机を向かい合わせにしてお弁当を広げる。
うちのクラスは問題児みたいなのもいないし、田島みたいに騒ぐのもいない。
3組=和やかな雰囲気の人ばっかりが集まった、って感じかな。
そんな昼下がり、お弁当の包みを開けながら、沖がひとつ、ため息をついた。
「どうしたの? 何か悩み?」
「んー、悩みっていうか……」
箸を持ちながら、またひとつ、小さなため息。
どうみても、悩んでるようにしか見えないんだけどなぁ。
「誰にも言わないよ?」
「…そう? じゃあ、言うけど…あの、巣山のことなんだけど…」
ついに、相談される時が来たな、と思った。
沖が巣山に好意を抱いてるのは、なんとなく気が付いてた。
ずっと前から、ってわけじゃないけど。
つい最近かな。そう感じるようになったのは。
「…巣山が、どうかしたの?」
「巣山がさ、そのー…。田島のことが好きだったらしい、って話聞いてさぁ…」
…あれ?
てっきり、「実は、巣山のことが好きになったみたいで…」ってくると思ってたのに。
拍子抜けした上、初耳な話題でちょっと驚いた。
「巣山が、田島を?」
「うん、そうみたい」
「へー、知らなかった…。でも、田島は花井じゃん?」
「うん。付き合う前まで、好きだったとか…って…」
「それ、誰から聞いたの?」
「花井と巣山が話してるの、偶然聞こえちゃったんだ」
「なんて?」
「『本当にもう、田島のこと好きじゃないのか?』って花井が言ってて、巣山が『だからそうだって。昔の話だろ。しつこいな…』って笑ってた…」
出し巻き玉子をつつきながら、沖がしゅんとする。
ショックだったのかな、田島のこと…。
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