「…うぁー、疲れた〜!」
「ああ、長かったな…」
3時間にも及んだソレは、悲恋モノだった。
身分違いの相手を好きになり、激しく愛し合うものの、結局は結ばれなかった。
CGも凄くて、それだけでも見ごたえのある映画だったけど、泉はその結末に納得いかなかったようだ。
「あの最後何だよ。アイツが殺したようなもんじゃん」
「手ぇ離したとこ?」
「そう。自分だけ助かりやがって…」
「はは、まぁな」
どちらかが生きれば、どちらかが死ぬ。
そういうシーンだったから、仕方ないと言えば仕方ないんだけど…。
「あの男も、男だな。『君だけでも生きろ』なんて、よく言えたな」
「生きててほしかったんじゃないの?」
「そんなの知るか。そんなのは男の勝手だ。残された女のこと考えてないだろ」
「…じゃあ、どうすれば良かった?」
もう暗くなった帰り道。
泉はぶーぶーと文句を言いながら歩いてる。
俺はそんな言うほど、悪いとは思わなかったけどなぁ。
「…二人で生きる方法、考える」
「考えても、思いつかなかったら?」
「もっと考える。思いつくまで」
「ははは。あるかなぁ」
俺が笑うと、泉がムッとふくれた。
道に落ちてる小石を蹴り飛ばしながら、ふっと空を見上げる。
俺もつられて、いくつか星が輝いてるのを見た。
「…一度繋いだ手は、離したらダメなんだ」
ぽつりと、呟くように言う。
視線を移せば、真剣な顔をして考え込んでいた。
「俺だったら、絶対離さない。離せって言われても、離さない」
「…泉?」
「浜田は? もし、俺が『浜田だけでも生きろ』って言ったら、離すか?」
咎めるように見上げながら聞いてくる。
そう言われると、俺も…。
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