「うまい?」
「おう。なぁ、何時だっけ」

「映画? 3時半から」
「ふーん」

メシの後は、映画を見ることになってる。
10年ぐらい前に一度公開したヤツなんだけど、そのリメイク版みたいな感じ。

当時スゴイ話題になってたんだけど、まだ俺たちは見たことない。

5・6歳で恋愛映画見たって分かんねーしな。

「面白いかなぁ」
「内容はCMで大体知ってるけどな」

散々話題になったせいか、今もテレビをつければCMがひっきりなしだ。
動員数がスゴイだの、ストーリーが泣けるだのって宣伝がスゴイ。

クラスメイトも「泣いた〜!」と喋っていたのを思い出しながら、付け合せの人参を食べた。

「楽しみだな〜v」
「俺は恋愛映画より、アクションのが良かったけどな。他人のイチャイチャ見て、何が楽しいんだか」

「えー、だって今 アクション何もないっけじゃん」
「そーなんだよな。それに押されてんのかな…」

もぐもぐしながら残念そうにしてる。
ちょっと拗ねた表情もイイな、とニヤニヤしてると、テーブルの下で足を蹴られた。

「イテッ! 何だよ〜」
「何だじゃねぇよ。ニヤニヤしやがって…。そんなに楽しみかよ」

勘違いされてるけど、一応「まぁね」と答えておいた。
泉に対してなんだけど、と伝えてしまえば、きっと更に痛い蹴りが待ってるはずだ。うん。

その後、映画の時間まで、スープとドリンクの往復で時間を潰した。
ちょっと飲みすぎたな、と二人で笑いながら映画館に着く。
すでに混雑していたソコに滑り込みながら、なんとか真正面の席に座ることに成功した。

まだ30分以上前だっていうのに、やっぱ宣伝してるだけあってスゴイな。

「何かジュース飲む?」
「んー、じゃあコーラ」

「んじゃ買ってくる。席とってて」
「おー」

自販機で、ファミレスでも散々飲んだコーラを二つ買い、ついでに売店でポップコーンを買った。
俺は塩味で、泉はキャラメル味。

席に戻り、前の席の人が買ったパンフレットを二人で盗み見しながら、幕が上がるのを待った。




* * *


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