「手に職つけたいって言ってなかったでしたっけ?」
「ん? ああ、よく覚えてたな、そんなこと…」
そういや、ちらっと言ったことあったな。
目的もなく進学するよりは、何か資格みたいなのが必要かな、って思って。
「専門とかどうスか?」
「なんの?」
「調理師とか」
「調理師ぃ〜!?」
何だって俺が調理師?
思わず声を上げながら問えば、榛名は反対にニコニコしてやがった。
「飯食うってんなら、ウマイ方がいいし、俺」
「何でお前に作る前提になってんだよ」
そう小突きながら笑えば、榛名も同じように笑ってる。
この笑顔は、いつまで見れるモンなんだろう。
「なぁ、榛名…」
「ん、何スか?」
ごろんと寝返りを打ちながら、榛名に背を向けた。
「俺たちって、いつまで続いていーのかなぁ…」
「…はぁ?」
「だって、榛名はプロ目指してんだろ? プロになれば、女子アナとかと付き合うわけだしさ…」
「?? 女子アナ?」
「多いじゃん、女子アナと結婚ってさぁ」
「はぁ、そうスね…?」
榛名だし、プロを目指しても何の違和感もない。
普通に練習してても、ギャラリーがちらほら来るぐらいだ。
それぐらい注目を浴びてんのは分かってる。
いつか、俺とのコトも笑って話すんだろうか。
ガキん時、俺男と付き合ってたんだぜー、みたいな。
もし、そんな言われ方したら……ヤだな。
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