織田は一瞬呆けた顔をしたけど、そのままぐいっと力強く体を引かれてしまう。
痛い、と思ったら、次の瞬間には、ヒドク甘いキス。

呼吸も奪われるそれに、俺は立ってるのがやっと。
必死に息を吸うけど、それでも間に合わない。

「叶、ちょぉこっちおいで…」
「…っつ!」

痛いぐらいに腕をひっぱられ、連れてこられたのは廊下奥にある掃除用具室。
ホコリっぽいそこは、モップとかバケツが乱雑に置かれている。
窓のブラインドを少し開けると、月明かりが差し込んできた。

「叶、自分の言葉の破壊力、理解せんとアカンわ…」
「へ…?」

「いっつも、俺は振り回されてんねんで…?」
「織田…?」


ぎゅっと抱きつかれ、ふわっと香る織田の匂い。
それに安心して俺も抱き返せば、さっきと同様、口を塞がれて。
消灯時間も過ぎたこの時間に、こんなとこでするキスが、何だか背徳な気がして、余計にドキドキした。

「叶、ちょっとだけ、ええか…?」
「ちょっと、だけじゃなくて、いいって…」

「アカンて、初えっちは旅行って決めてんねん…」
「あのな、別に、俺はどこでも…//」

旅行はもうすぐ。
でも、別にその日じゃなきゃダメなんてルールはないわけだしさ。
俺だって男だし、限界もあるわけで…。


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