「あいつら、何やってんの?」
「宿題忘れたって言ってたから、教えてあげてるんだよ。昼休みに教えるって言ってたの聞いたから。次英語で、今日はあっこの列当たるんだ。1問だけだけどね」

「宿題くらい、自分でやれっつーの…」
「そうだねぇ」

から揚げを食べながら、巣山の皺を見る。
沖の人の良さに呆れてるのか、それとも沖との時間をとられたからなのか。

まぁ、どっちかなんて、考えるまでもないんだけど。


「巣山、沖のことが気になんの?」
「え? いや、別に…そういうわけじゃ…」

「ふーん…?」
「何だよ、その目…」

「別に? 言いたくないなら、いいけど」
「……西広」

「なに?」
「もし、何かに気づいてるなら、そのまま知らないフリしててくれ」

「? どうして…」
「あ、巣山〜。そこ座られたら俺食べられないよ」

「俺が代わりに食ってやるよ」
「ちょっと! ダメだって!」

教え終わったみたいで、沖が戻ってくる。
巣山の体をぐいぐい押しながら、お弁当にありつこうとしてる。

さっきまでの皺がスッキリなくなった巣山は、フザけて沖のおかずを食べようとしてる。
それを笑いながら阻止する二人を見て、すでに成立してる他のカップルを思い出す。

この二人も、同じようなモンに見えるけどなー。

沖は気づいてすらいないし、巣山は言わないつもりみたいだし。
お互いが片想いだってのも気づいてないわけで。

「いつかなー…」
「なにが?」

つい口から出た言葉に、沖がきょとんと反応するけど。

まさか「いつ くっつくのかなー」って思ってた、なんて言えない。


「何でもないよ。ふふ」


いずれ くっつくだろうし。

もうちょっとだけ、
見物してみようかなv



**END**


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