「あべく……」
「ん…? キツイか?」
「も、いいか、ら……」

くたんとなりながら、でも甘えるように両手を前に出す。
それに、一瞬また理性が飛んだ。

深呼吸して、またそれを呼び戻す。ダメだ。俺的には、もうちょっと慣らしてからの方が安心だ。

傷つけたくない。

「もう少し、な…?」

前に出された手を、片方握ってやりながら慣らす行為を続ける。
それに、三橋が頭を横に振った。

そして、握った手をくんっと引っ張ってきて。

「…もぅ、ね…? あべ君……」

熱に浮かされて、うっすらと涙が滲むその表情を間近に見て、なけなしの理性なんてあっという間に飛んでった。

所詮、俺なんてこんなもんだ。

ねだられれば、すぐに誘われてしまう。


心の中で侘びを入れながら、少しでも辛くないように、ゆっくりと…進めていった。


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