「あべく……」
「ん…? キツイか?」
「も、いいか、ら……」
くたんとなりながら、でも甘えるように両手を前に出す。
それに、一瞬また理性が飛んだ。
深呼吸して、またそれを呼び戻す。ダメだ。俺的には、もうちょっと慣らしてからの方が安心だ。
傷つけたくない。
「もう少し、な…?」
前に出された手を、片方握ってやりながら慣らす行為を続ける。
それに、三橋が頭を横に振った。
そして、握った手をくんっと引っ張ってきて。
「…もぅ、ね…? あべ君……」
熱に浮かされて、うっすらと涙が滲むその表情を間近に見て、なけなしの理性なんてあっという間に飛んでった。
所詮、俺なんてこんなもんだ。
ねだられれば、すぐに誘われてしまう。
心の中で侘びを入れながら、少しでも辛くないように、ゆっくりと…進めていった。
[*prev] [next#]
2/8
【目次・SR・TOP】