「こりゃー落ちるかもなー」
「何ワクワクしてんだよ…」

ふと泉を見れば、枕に顔を埋めて布団をかぶってる。
あれ、いつの間に潜ったんだ?

「どしたー? 暑くねぇ?」
「別に…」

具合でも悪いのかと近寄れば、耳を塞ぐように手をあてていた。
外はまた光り、大きな音が鳴った。
それと比例するように、泉の体がビクっと反応する。

もしかして、雷嫌いなのか?

そんな考えもよぎったものの、別にからかうつもりなんてない。
誰だって苦手なことの1つや2つあるし。
むしろ、可愛いとさえ思えてしまうのは、惚れた欲目なんだろうか。

停電するかもしれないし、惰性で付けていたテレビを消す。
すると雨の音や雷の音がよりクリアに聞こえてきて、泉にとっては逆効果だったようだ。

「消すなよ…見てたのに…」

ベッドに潜ってるくせに、そんなバレバレのウソついても無駄だって。
少し笑いながら、ちょこんと出てる泉の頭を撫でてやる。
ごろごろ転がってたせいか、ボサボサの髪を梳かすようにしながら。

「…ンだよ」
「俺も入れてよ」

「…何で」
「いや、それ俺のベッドなんだけど」

「お前のものは俺のものだ」
「どこのガキ大将だよ」

布団の端っこをしっかり握ってる泉の手を上から握りながら、無理やりガバっと剥ぐ。
それに少し驚いたみたいだったけど、俺が滑り込むようにして一緒に潜ったら、小さく安堵の息が洩れていた。

「お邪魔しまーす」
「おまえ、強引だな…」

口では文句言ってるけど、泉の両手が俺のTシャツをはしっと握ってる。怖いなら怖いって言えばいいのに。まぁ、言えないのが泉なんだけどさ。

「俺、雷苦手なんだよねー」
「はぁ? お前が?」

「そう。だからちょっとくっつかせて?」
「……しょうがねーな」

抱え込むようにしてくっつけば、泉も同じようにくっついてきて。
思わずニヤけてしまう顔を隠そうと、更にすり寄る。
目の前の泉の耳は、ほのかに赤くなっていた。

「なぁ、泉。いいこと考えた」
「なに?」

「湿気も気にならなくて、雷も気にならない方法」
「? 何だよ」

きょとんとしてる泉のおでこに口付けしながら、服の裾から手を忍ばせる。俺の行動にぎょっとしたのか、慌ててぐいぐいと手を押し返してくるんだけど…そうはさせない。

「泉…」
「ちょ、おま、何考えて…、!」

言葉を遮るように口を塞げば、少しの抵抗の後におとなしくなった。
抵抗しても無駄だと諦めたのか、キスで力が抜けたのかは分からないけど。

「泉、好きだよ…」
「……ん、」

何度も囁きキスを送りながら、
雷には目もくれず。


布団の中で
愛を確かめ合った―――






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