「…昨夜、また電話があったんだ。答えは出たか、って」
「……」

「泉ともこんな状態だったし、もういっそ、どこにでも行っちゃおうかなって」
「えっ…!?」

「…って、思ったんだけど。もう少し考えさせてくれって言って、電話切ったんだ」
「…な、なんだ… で、何て言うんだ…?」

「今、決まった。俺はどこにも行かない。ずっと、泉と一緒にいるよ」

微笑みながらも、語気を強めて言い切ってくれた。
今決めたって事は、マジで危なかったのか…?

浜田の答えに心底安心したら、体の力が抜けて思わず床にへたり込んでしまった。
何だよ、足まで震えてんじゃねーか…どんだけ怖かったんだよ、俺は。

緊張を解そうと何度も深呼吸してるのに、なかなか息が整わない。
冷たくなってる手を合わせ、何とかしようと思ってると、浜田もしゃがみこんで俺の頭をわしわしと撫でてきた。

「大丈夫か?」
「あ、あぁ… ちょっと待って…今、た、立つから…」

「ははは、俺が治しちゃるv」
「え? …ぅわ!」

ぐいっと引っ張られ、浜田の足に座るような形で、腕の中に収められた。
いつもの丁度いい力加減で、ぎゅーっと抱きしめられつつ、頭を優しく撫でてくる。

それに、自分でも笑っちゃう程 あっさりと落ち着いてしまったわけで。
久しぶりの体温も、撫でてくる手も、どこにも行かないって答えも…全部が全部、嬉しくてたまらない。

昂った気持ちを乗せて、自分からも めいっぱいの力を込めて抱きしめ返す。
それに浜田が「苦しいぃ〜v」って笑った。

こんなにも離れたくないんだぞって、ちゃんと伝わってるかな。
力抜いてなんかやんねー、もっと苦しがれ!


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