「…仲直りの方法ぐらい、知ってる!」
「じゃあ、さっさと行けよ。ついでに、テメーの気持ちも伝えて来い馬鹿野郎」
「お前はいちいち一言余計なんだよ!」
「テメーに言われたくねーわ」
阿部がニヤリと笑って、さっさと行けとばかりに体をポンッと押してきた。
ここ数日、俺に纏わりついていた苛立ちは消えて、視界がクリアになった気がする。
まさか、阿部に説教される事になろうとは…栄口や西広じゃなく、コイツにだなんてな。
俺もだけど、阿部も本気だった。
それだけ、俺の…俺たちの事を、本気で考えてくれたんだろうか。
三橋を不安にさせてるからって、口では言ってたけど…本当にそれだけか?
なんて、阿部に聞いた所でスルーされるのがオチだな。
「…おい、阿部」
「なンだよ、とっとと行けよ。時間ねーぞ」
「行くよ、行きますよ。そうじゃなくて」
「あ?」
「…そのー、何つーか…」
「? なに」
くそっ、ちょっとは察しろよ!
栄口にだったら、素直に言えるのに!
…とか思ってる場合じゃねーな。
仲直りの方法も知ってるけど、お礼の言葉だって知ってるんだ。
「……あ、ありがと」
「!? …お、おー」
「そんじゃ、行くわ!」
「あぁ、行ってこい」
照れくさくて、顔も見ずに言ってしまったけど、たぶん気持ちは伝わった。
今度は、浜田に気持ちを伝えに行く番だ。
待ってろよ、浜田!
思いっきり引き止めてやる!
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