「じゃあ、阿部だったら何て言うんだよ。無責任に『行かないでくれ!』とでも言うのか!?」
「あぁ、もちろん言うね。当たり前だろ」

「そんなんで向こうの家族が納得すると思ってんのか? 相手にされるわけねーだろ!」
「お前はさっきから的外れな事ばっか言ってんな。あったま悪いわ」

「は!? どこが的外れなんだよ!」
「さっきから責任がどうとか、家族がどうとか、そんな事聞いてんじゃねーだろうが!」

「ああ!? 意味分かんねーし!」
「浜田は『泉はどう思う?』って聞いたんだろ!? お前の気持ちが聞きたかったんだろうが!」

本気で怒鳴り合ってるせいで、お互いに呼吸が乱れて荒くなってる。
はぁ、はぁ…と呼吸を整えつつ、思いっきり睨み付けてくる阿部に、同じように睨み返した。

阿部の言いたい事も分かる。
きっと、浜田は俺に引き止めてほしかったんだ。

それは分かってるけど、それでも『家族も大事なんじゃないか』と思っただけだ。
もし遠くに行ってしまったとしても、べつに別れるつもりはないし。

そう反論すると、阿部が深いため息をついた。

「自惚れんのもいい加減にしろよ。浜田が一緒にいるのは、当たり前だと思ってんじゃねーのか?」
「は? どういう意味だよ」

「テメーは無意識に、『浜田は必ず俺を選ぶはず』と決めつけてんだ。だから、家族の所に行っていいと口では言っても、頭では『でも、俺を選ぶんだろうけどな』って思ってんだろ。大事にしないといけない浜田からの好意に胡坐かいた上、それをぞんざいに扱ったんだ」

だからガキだって言ってんだよ、と吐き捨てるように言われた。

俺を選ぶはずと、決めつけてる…?
またガキだと言われた事よりも、その言葉がザックリと胸に突き刺さった。

…心当たりが、ないわけじゃない。
心のどこかで、「俺の事を大好きな浜田が、俺から離れられるわけがない」って…


浜田が傍にいる事に慣れて、
浜田から与えられる好意が当然だって…思ってたのか…?


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