「し、慎吾さん! 次が始まりますし!」
「えー? いいじゃん、サボっちゃえば〜…」
ちゅちゅちゅとキスを落としながら言えば、迅はムッとしたみたいに体を離してきた。
あれ、何か怒ってる?
「慎吾さん、そういうの良くないと思います」
「え?」
「慎吾さんは、成績もいいし、野球もスゴイし、気配りも料理もボケもツッコミも出来て、最高だと思います」
「……」
「それなのに、そんな態度してるから、誤解されちゃうんです。本当は、とっても尊敬できる人なのに…」
「迅…」
他人の評価なんてどうでもいいし、興味ない。
そんな俺とは違って、迅は俺を周囲に認めさせたいらしい。
…なんていじらしいんだ!
「…俺、迅のそういう所好きだよ」
「へ? …あ、すいません! 何か、偉そうな事言っちゃって…!」
「ははは、いいんだよそれで。俺には、強めに言ってくれる奴のが丁度いい」
「慎吾さん…」
俺を想って叱ってくれるっていうのは、心地いいもんだな。
制服の下に潜り込ませていた腕を抜いて、背中に回して優しく抱きしめる。
シアワセって、こういう事を言うのかもしんねーな…
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