* * *
「何だかますます機嫌悪いなぁー」
「……別に」
ミーティング終わり、普通なら浜田が迎えに来て一緒に帰るとこなんだけど、そんな気持ちはサラサラない。今は浜田の顔なんざ見たくない。
俺のイライラが周囲に伝わったせいか、いつもより早めにミーティングが終わった。
ちらほらと帰っていくみんなを見ながら、俺も浜田を待つことなく一人で帰る。
後でいろいろ言われるかもしれないけど、浜田が悪いんだからな。
「おー、泉君じゃん」
「…? あ、梅原先輩」
一瞬誰かと思ったけど、浜田の元同級生だったな、確か。
うろ覚えの名前だったけど、正解だったみたいで挨拶される。
もう一人といつもつるんでるのをよく見るけど、今日は一人みたいだな。
「今帰り?」
「そうっス」
「一人?」
「…そうっスけど」
見れば分かるだろ、と心の中で毒づく。
俺の不機嫌が伝わったのか知らないけど、宥める様に笑われた。
「何か用ですか? 浜田ならいませんけど」
「知ってるよー。今あいつ忙しいもんなぁ」
「は? 何が?…ですか?」
「あれ、聞いてない? やべ、まずった…ハハ」
引きつった笑いで すすす…といなくなろうとした先輩の手をがっしり掴む。誰が逃がすかっつーの。
「教えてくれますよ ね?」
にっこり笑顔で有無を言わさない雰囲気を作れば、先輩はますます引きつる笑顔を浮かべ、小さく「神様…」と呟いていた。
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