その後、午後の授業も終わり、掃除の時間。
裏庭が当番だった俺は、何人かと喋りながら移動する。するとその移動中、渡り廊下で浜田を見たような気がした。
周りの奴らに「先に行ってて」と声をかけ、消えた廊下の先まで走った。別に、追いかける理由なんてないんだけど。
覗き込むようにして見れば、知らない女と二人で立ち話してる。
それにちょっとムっとしながら、でも覗いてるのをバレないように隠れる。会話は聞こえてこないけど、女が浜田の右腕にべったりくっついた。それに、浜田が少し嫌そうに外してる。
(告白か?)
(それにしても、馴れ馴れしい気もするけど…。)
イライラは勝手に膨らんでっているようだ。思わずしかめっ面になる。
ていうか、浜田は休んでたじゃん。
授業サボって女と密会…って、これじゃ浮気現場じゃねーか。
(まさか、な…)
浜田が俺を好きなのは知ってる。それも、分かりやすいぐらいに。
あれが、全部演技なわけねーし、嘘だってつけるほど頭良くない。
そう分析結果を出しながら、後で聞けばいいかと裏庭に移動しようとした…んだけど。
(……!?)
女が身を乗り出して、浜田にキス…?
驚いて固まってると、浜田も同じようにカチンコチンになってる。
「な、何すんだよ!」
我に返った浜田の大声が聞こえた。
それに対して、女が何か言いながら笑ってる。そしてそのまま、こっちに向かって歩いてきた。
俺は咄嗟に、反対方向へ一目散に走った。見つからないためと、…後はもう一個のどす黒い感情のため。
(何やってんだよ、バカ浜田…!)
簡単にキスされてんじゃねーよ…!
* * *
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