「どこ、行くの?」
「ちょっと、そこまで」

辿り着いたところは、化学実験室です。
ヒンヤリした机が整然と並んでいて、俺達以外には誰もいません。
それもそうだよね。まだ授業の時間じゃないもん。

「こっち」

くいっと腕を引っ張られ、奥の化学準備室へと入って行きます。鍵がかかってると思ったけど、普通に開いちゃいました。

「さっき、鍵かけるの忘れてさ。借りてきたんだ」

そういえば、阿部くんは化学の教科担当だって聞いたことがあります。先生のお世話をする役なんだけど…そっか、だから開いてたのかぁ。

「えーっと、リモコン…」

棚の上に無造作に置かれてたリモコンを見つけて、クーラーに向けてピッと押しました。
すると、すぐにヒンヤリした空気が流れてきて、思わず ほぅ…っと息が洩れました。

「昼休み終わるまで、ここにいようぜ」
「うん!」

勝手にクーラー使っていいのかなって思ったけど、たぶん大丈夫…だよね?
うあーって涼しそうにしてる阿部くんに倣って、俺もうあーって言います。
学校でクーラーなんて、何だか贅沢してる気分です。
教室全部に、あればいいのになぁ。


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