阿部くんが意地悪なコトをするのは、相手に自分を見てほしいから…相手のことが好きだからなんだと、思います。
阿部くんは、みんなのことが好きです。
それは、阿部くんの口から直接聞いたわけじゃないけど、隣にいれば分かります。
水谷くんや、泉くん、花井くんのことも、全員のことをちゃんと想ってます。それに、度が過ぎた意地悪はしないんです。
ちゃんと、笑って終われるような…そんな優しい意地悪なんです。
「阿部とバッテリー組むの怖いなぁ。阿部とうまくやれるかなぁ…」
沖くんが、不安そうに へへっと笑ってます。それに、すぐ「大丈夫だよ!」って応えました。
阿部くんは、スゴイ人だ。と、思います。
こんなにスゴイ人がキャッチャーだなんて、ピッチャーとしては凄く安心出来ます。
怖いことなんて1つもない…こんなに優しい人、他にいないと思います。
栄口くんも、修ちゃんも、西広くんや巣山くんも、みんなみんな優しいけど。
本当は、阿部くんが一番優しいんだと思います。…俺が阿部くん大好きだから、そう感じちゃうのかなぁ。
「さっきトイレで阿部と会ったけど、やっぱり三橋の話だったぜー」
たまには他の話題しねーのかよ!って笑って隣に座ったのは、浜ちゃん。
へへへと笑ってると、後ろから誰かにわしわしっと頭を撫でられました。
一瞬驚いたけど、でもその優しい手つきで、すぐに誰だか分かりました。
「阿部くん!」
「よう」
名前を呼ぶと、少しだけ笑って返事をしてくれました。一緒にいた浜ちゃんが、気をきかせていなくなっちゃって…二人きりになりました。
「ちょっといい?」
「はいっ!」
お昼休みが終わるまで、まだ時間があります。俺は、阿部くんに誘われるがままについていくことにしました。
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