最後のデザートのページまで見終わった後、満足したみたいに本を閉じた。
そのほくほくした顔を見て、心の中で姉ちゃんに感謝する。
挫折してくれてありがとう!

「…ねぇ、まだ時間あるよ?」
「へ?」

元々近かった距離を、もっと縮めてみる。右手で引き寄せた腰が、驚いたみたいにピクッと動いた。

「ちょっとだけ…ね?」
「…う、うん」

ポッと照れながら俯いて、きゅっと目を瞑った。3秒くらいその可愛い顔を堪能してから、俺も目を閉じてそっと近づく。
さっきほっぺたにしたキスよりも深く、吐息すら洩れないように、しっかりと唇を塞いだ。

右手は腰を抱き寄せたまま、左手は栄口の右頬を撫でて。
どんどん抱きしめるのを深くしてる最中、ふいに俺の右ポケットに入ってるモノを思い出した。

「…っ、そうだ…コレ…」
「…ぅん?」

少しだけとろんとしてる栄口の目元にキスしながら、レモン味の飴を取り出す。
たまたまクラスの女子にもらったモノなんだけど、確か栄口が好きだって言ってた飴だったから、あげようと思ってとっといてたんだ。
それを説明しながら飴を差し出すと、喜ぶどころか ムクれながら睨まれちゃった。

「…水谷がもらったんでしょ。だったら水谷が食べればいいじゃん」

ツンと口を尖らせて、ちょっと拗ねてるみたい。ふふ、栄口も結構ヤキモチ焼きなんだよね。
それを分かってて、少し意地悪してみた俺も俺なんだけど!


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