その後も、お弁当がなくなるまで何度か食べさせっこして。
お茶を飲みながら風を感じつつ…コッソリと背中に隠してたのを取り出す。
「栄口、これあげる!」
「え? …本?」
唐突に出した本に、目を丸くしながら少しビックリしてる。
はい、と手渡したのは、料理の本。姉ちゃんが使わなくなった…ていうか、使う前に挫折した本なんだけど。
「お下がりだけど、綺麗でしょ?」
「う、うん…。でも、いいの? 綺麗っていうか、使ってないみたい。新品ぽい」
あ、やっぱりそう思う?
姉ちゃんも「1回は使ったよ!」って言ってたけど、それすら怪しかったもんね。
「ただ置いとくぐらいなら、栄口に使ってほしいな〜って…」
「…へへ、ありがとv」
にこってお礼を言われて、俺もつられて笑顔になる。一品料理だけを集めた本なんだけど、それが栄口の興味を惹いたみたいだ。
「おかず何品も作るの大変なんだよね〜。こういうのだと助かるな〜…」
ぱらぱらとページを捲りながら、ずっとにこにこしてる。あぁ、この顔が見れるなら何十冊でも本を贈りたい気分!
…まぁ、そんなことしたら 栄口に怒られるのは分かってるんだけどね。「こんなにいらないよ!」とかってさ。
「…あ、コレおいしそう!」
「『カルボナーラ』かぁ…。今度作ってみようかなー」
パスタのページはどれも華やかで、これもいいね、これもおいしそうだ、って止まらない。
あー、栄口の作ったカルボナーラも食べてみたいなぁ〜…。
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