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着替えてる所を見られたくなくて、お互いに背を向けて着替えてたんだけど。
せーの、で振り返った先には…とんでもないぐらい超絶カッコイイ水谷がいた。
え、白衣だけじゃないじゃん!
スーツみたいなの着て、聴診器みたいなのもぶら下げてる。オプションみたいに紺色のフレームの知的な眼鏡までかけちゃって…俺が今ナースだってことも忘れて、つい見入っちゃった。
「うわー、すっごい似合ってるよ!v やっぱり、俺の目に狂いはなかった!」
あ、中身は水谷のままだ。
そりゃそうか、って自分にツッコミながら、同時に自分の失態に気付く。こんなの、着終わったんだからすぐに脱がないと!
「ねぇねぇ、お医者さんごっこしようよ〜v」
「お医者さんごっこって、水谷がお医者さんじゃん! 普通は患者と医者なんじゃないの!?」
…ん?
ツッこむところが違うような?
「ね、お願い! 一生のお願い!」
「水谷の一生は何回あるの!?」
抱きついてきた水谷の顔をぐいぐいと押し返しながら反撃する。っても、力は水谷の方があるから…ずりずりとベッドの上へ上げられてしまった。
「はい、ここが診察台ねv」
「バカか! 俺は患者じゃありません!」
「細かいこと気にしないのv じゃ、診察しまーすv」
「えええー!? ちょっ、待って待って!」
眼鏡の奥の瞳で、ニヤリと笑われた気がした。やばい…水谷のこの変化は、何かやらしいこと考えてる時だ!
「いい子ですから…ね、栄口さんv」
すっかりソッチモードになった水谷に、敬語で名前を呼ばれる。それに、不覚にもドキッとしてしまった。
ふいにそんなことするなんて、ズルイじゃないか…!
「ちょっ、みずた…」
「先生って呼んでくれないと…ちゃんと診てあげませんよ…?」
吐息まじりに囁かれて、俺の頭は完全に沸点を越えたはず。
だってこんなに頬が熱いもん!
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