* * *



急に、泉がガシッと しがみついてきた。
抱きつくっていうか、もう必死にぎゅうううって感じに。

それにビックリして、何が起こってんだろうと慌ててしまう。
泉は何も言わないで、ただくっついてるだけだ。

「ど、どうしたの…?」

俺の問いかけは完全にシカト。
ていうか、もううっとりって感じになってんだけど…あれ? これ夢?←

「あ、あのー…?」
「…はまだぁ」

ぴったりくっつく泉を、ちょっとだけ離して顔を覗き見る。
すると、泉がどこか舌ったらずに名前を呼んできた。

それに加えて、目はうるうるでぽーっとしてる。
まるで…情事中の泉みたいだ。

「い、いずみ…?」
「はまだぁ…」

ぐりぐりと頭を擦り付けるようにして甘えてくる。
うわわわ、何で急にこんな!?

パニックになりながらも、俺もぎゅっと背中に腕を回す。
近づいた黒髪からほのかに香る、シャンプーの匂いにくらっと来た。

そして、ハッと気が付いた。
きっと、篠岡かモモカンの仕業だろうと。

沖がさっき言ってた「よろしく」ってのは、きっと「薬のせいで甘えん坊になってるからよろしくね」ってことなんだ!←

「泉、可愛すぎ…v」
「ん…v」

囁くように言えば、泉がまたうっとりして見つめてくる。


普段の泉からは、想像もできないくらい可愛くて。

俺の理性なんて、
あっという間にどこか遠くへと飛んでってしまった。





* * *


[*prev] [next#]
6/8

目次SRTOP






第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -