* * *
急に、泉がガシッと しがみついてきた。
抱きつくっていうか、もう必死にぎゅうううって感じに。
それにビックリして、何が起こってんだろうと慌ててしまう。
泉は何も言わないで、ただくっついてるだけだ。
「ど、どうしたの…?」
俺の問いかけは完全にシカト。
ていうか、もううっとりって感じになってんだけど…あれ? これ夢?←
「あ、あのー…?」
「…はまだぁ」
ぴったりくっつく泉を、ちょっとだけ離して顔を覗き見る。
すると、泉がどこか舌ったらずに名前を呼んできた。
それに加えて、目はうるうるでぽーっとしてる。
まるで…情事中の泉みたいだ。
「い、いずみ…?」
「はまだぁ…」
ぐりぐりと頭を擦り付けるようにして甘えてくる。
うわわわ、何で急にこんな!?
パニックになりながらも、俺もぎゅっと背中に腕を回す。
近づいた黒髪からほのかに香る、シャンプーの匂いにくらっと来た。
そして、ハッと気が付いた。
きっと、篠岡かモモカンの仕業だろうと。
沖がさっき言ってた「よろしく」ってのは、きっと「薬のせいで甘えん坊になってるからよろしくね」ってことなんだ!←
「泉、可愛すぎ…v」
「ん…v」
囁くように言えば、泉がまたうっとりして見つめてくる。
普段の泉からは、想像もできないくらい可愛くて。
俺の理性なんて、
あっという間にどこか遠くへと飛んでってしまった。
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