「写メだけじゃないよ、このストラップもオソロなんだよ〜v」
「はいはい、ヨカッタネ」

適当に流しながら相槌を打つ。

そしてふと思った疑問。
こんなアホ全開の奴、栄口は何で好きなんだろうな、って。

「…あ! 栄口来た!v」
「ん?」

見れば、入り口ん所で栄口が立ってた。
光の速さで栄口のとこへと駆け寄ってく姿は、まるで忠犬だな。

「俺に会いに来てくれたの〜?v」
「違うよ」

「違うの!?」
「うん」

またもガーン!ってなってる水谷の横を通り、篠岡に話しかけてた。
部活のプリントだろうソレを渡した後、まだ固まってる水谷に膝カックンをして正気に戻らせてる。 (…)

「ひどいよ〜、さかえぐちぃ〜…」
「ふふ、ごめんねv」

アメとムチを上手に使い分けてる栄口は、まるでブリーダー。
そのうち芸でも覚えさせそうだな。

「バツとして、栄口からちゅーすることv」 
「やーだ」

「やなの!?」
「絶対やだ」

「ええー!?」
「やだったら、やだ」

…何だよ、あいつら。
普通にイチャこいてんじゃねぇよ。

「イライラする…」
「阿部もか」

携帯を閉じながら「忌々しい…」と呟いて睨んでる。

ムカつきまではしねぇけど、呆れちまうな。
本人たちはきっとイチャついてるつもりはねーんだろうけど。

「いつか栄口に聞かねーとな」
「何を?」

「クソレのどこがいいのか」
「お前もそう思ってたか…」

ていうか、誰もが思ってんじゃねぇのか。
確か、泉もいつか言ってた気がする。

よし。




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