見つめあわなくても、
背中越しでも、
伝わる、気持ち。
●●隣りの温度●●●
夜8時。
ベッドでごろごろ転がりながら、机に座ってる織田に目を向ける。
俺はもう宿題を終わらせてるけど、さっきまで監督に呼ばれてたこいつは、今からやり始めるようだ。
今日は生物と数学の2つ。
っても、どれも量が少ないし、こいつは成績もいいからあっという間に終わるだろう。
シャーペンがノートを走る音だけが響く中、またころんと寝返りを打って、織田に背を向けた。
白い壁を見ながら、ふと記憶を思い返す。
高身長なのも、だらしなく制服を着るのも、最初に会った時は全部が癪に障った。
何より、ウソっぽい笑顔が一番ムカついてたんだ。春まではな。
その笑顔も、今では見ることもなくなった。
いや、笑ってるのを見てないわけじゃない。
仮面みたいな笑顔が取れて、本当の顔を見せてくれたような気がする。
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