「そろそろ帰りましょうか」
「そだな」
立ち上がり、制服についた草を叩いて落とす。
榛名も同じ事をしながら、「あっ」と声を出した。
「思い出した」
「何が?」
「確か、キスのしやすさだった気がする。身長差のヤツ」
「は? …あ、あっそ//」
さっきのキスを思い出して、少し照れる。
その顔を見られたくなくて、榛名より先に歩いたけど、すぐ横に並ばれてしまう。
「でも、押し倒しちまえば、何も関係ないスねv」
「バーカ!!」
こいつは、俺に何回罵倒されれば気が済むんだよ。
はぁ、とため息をついた時に思いついた。
いつもいつも振り回されてる仕返しだ!
「なぁ榛名」
「ん、何ス…!」
ぐいっとあいつのネクタイを引っ張り、顔を無理やり近づけさせる。
背伸びしてさっきと同様のキスをしてやれば、途端にかあああっと真っ赤になる顔。
やった、成功だ!
「12cm差でもデキるなv なーんてv」
「ななな、なな…!//」
「オラ、帰るぞ。いつまで止まってんだ」
「……//」
口に手をあてて、赤面したまま立ち止まってる。
ふふん、いい気味だ。
ウキウキしながら歩いてるこの時の俺は、これから5秒後に榛名が突進してきて、さらにスゴイ『仕返し』されることに、まだ気がついていなかった―――
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