あちこちにキスしてくる榛名の体をぐいぐいと押しても、ビクともしねぇ。
これはマジでヤバイかも、と焦ってると、ふわっと唇に掠め取るキスをして離れていった。

それにぽかんとしてると、榛名がクスクス笑って犬を見てる。
な、何なんだ…?

「アルジャーノンに見せ付けてやっただけっスよ。『お前よりイチャイチャしてんぜ』ってのを」
「……はぁ?」

「まだこっち見てるじゃないスか、あの犬」
「お、お前は本物のバカだ…」

脱力しながら言えば、はははっと笑ってる。
ったく、何だよ。
いっつも、お前の行動に振り回されてるこっちの身にもなってみろってんだ。

「あ、飼い主来たみたいですね」
「…そうだな」

中学生くらいの女の子が、アルジャーノンに駆け寄ってるのが見える。
そして、抱きかかえたままいなくなった。

「将来、犬でも飼いましょうか」
「一緒に暮らすの前提で言ってるな、お前」

「夫婦は一緒に暮らすんですよv」
「誰が夫婦だ! どっちもピッチャーだろうが」

「そういう意味じゃないスよ!」
「分かってて言ってんだよ!」

言い合った後、お互いに噴出して笑い合う。
まぁ、犬飼うのはいいかもな。

本当に、一緒に暮らせる日が来たら…。


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