手を払いのけて睨めば、ますますニマニマする顔。
こいつ、俺のこと犬か何かだとでも思ってんじゃねーのか。

「大体、理想って何だよ。何の都合だ?」
「あれ、何だったっけ…?」

「ンだよ。肝心なトコ見てねーじゃん」
「……ん〜」

歩いてる内に、いつも行く川原に出た。
今日は寄るのかなーとチラっと見れば、すでに榛名の中で決定していたのか土手に下りていく。
それにちょっとだけ嬉しさがこみ上げたけど、先を歩く榛名には気づかれてないみたいだ…良かった。

もう夕焼けも終わり、太陽が引っ込んだ空を見ながら座る。
ふー、と息をついたところで、橋の下に黒い影が見えた。

うんうん唸ってる榛名は放っといて、じっと目を凝らす。
どんどん近づいてくるそれは、茶色い雑種の子犬だった。

「……ん〜」
「おい榛名! 見てみて、犬だ!」

「へ?」
「うわ、可愛い〜v」

人に慣れてるのか、俺の膝元にくっついてきて尻尾振ってる。
よく見れば首輪がついていて『アルジャーノン』と書いていた。こいつの名前かな?

「加具山さん、犬好きでしたっけ?」
「好きだなーv 猫より犬のが好き〜v 榛名は?」

甘え上手のアルジャーノンを抱きかかえて、頭を撫でる。
俺ん家は親が犬苦手だから飼えないんだけど、やっぱ可愛いな。


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