年上の威厳なんてものは、
俺には一生縁がないのかもしれない。

…別に、いいんだけど!


●●Pretty temptation●●●


少し前までは、榛名の家に遊びに行く時は、何かしら口実を作ってた。
榛名が俺を好きだって言うのも、付き合いだした時にだって、まだ信じてなかったし。

素直にアイツに擦り寄るのは、まだ早いと思ってたんだ。
俺の気持ちの問題もあるけど、もしかしたら榛名はすぐに俺に飽きてしまうかもしれないと思ってたから。

それが、今では自分から甘えに行くなんて…あの頃の俺には、全然想像もしてなかった。

「加具山さん、今日も来るでしょ…?」
「…うん」

学校終わりの帰り道、コソコソと耳打ちされた誘いの言葉に、顔から火が出る程に熱くなってるのが分かる。
家に行くイコール、…そういうコトをする、って事だから。

「赤い顔も可愛いッスねぇ〜…」
「うっせぇ、バーカ」

ニヤニヤする榛名に軽く蹴りを入れながら、これからのコトに こっそりと期待してしまう。
いつから俺は、こんなに淫乱になっちまったんだ…。

初めてコトに及んだ日から、ほぼ毎日のように通う榛名の家。
こんなにべったりしてていいのかなって思うけど…誘惑に勝てるほどに、俺の理性は強くなかったみたいだ。

自分では、そこまで欲求なんてなかったはずなんだけど…
慣れなのか、目覚めさせられたのかは、分からない。


ただ、榛名と
どこまでもくっつきたいんだ。



* * *


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