「ねぇ、巣山…」
「なに?」

「水谷が足りない気がする…」
「…は?」

「ちょっと行ってくる!」
「はいはい、行ってらっしゃい」


●●真昼のEscape●●●


4時間目が始まる、少し前。
あと1時間我慢すれば、水谷とお昼が食べられる時間だっていうのに、それすら待っていられない。

ただでさえ業間の休みなんて10分しかないのに、1組と7組で教室が離れてるから、会って話すなんてほんの少しだけ。
もしかしたら、トイレとかに行ってて教室にいないかもしれない…そうは思っても、足はどんどん7組に向かって進んでいく。

会えますようにと願いを込めて教室を覗きこめば、窓際で花井と阿部の3人で喋ってる姿が見えた。
良かった、すれ違わなくて…!

「…水谷!」

少し大きい声で呼べば、すぐに気が付いて笑ってくれた。
俺が手招きする前に あっという間に駆け寄ってきてくれたのがくすぐったい。
可愛いなぁ、もう。

「どしたの? 忘れ物〜?」
「ううん、ちょっといい?」

「え? わわ、どこ行くの!?」
「いいから!」

グイグイと腕を引っ張ってダッシュする。
のんびり歩いてる時間だって、今の俺には勿体ないんだから!


[*prev] [next#]

1/7


目次SRTOP




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -