「ムカつくんだよ! 何にも知らないくせして!」
「えぇ〜…?」
ボスボスと枕や布団を叩いて暴れ喚く泉を、とりあえず「近所迷惑だから」と制止する。
口で言っただけで聞くような奴じゃないから、ほぼ抱きしめるようにして押さえつけた。
「暴れんなって〜!」
「……チッ」
ガシッと抱きしめたままにしてると、何とか大人しくなってくれた。
こんだけ泉が怒るなんて…俺何かしたっけかな?
「…なぁ、ちょっと思いつかないんだけど…俺何か気に障るこ」
「ちげぇよ!」
言い終わらない内に、速攻否定される。
そろーっと覗いた泉の顔は、"怒ってる"というよりも"拗ねてる"って顔になってた。
えーと、これは…?
「…アイツが、お前のこと悪く言うんだ」
「へ?」
「お前のこと、何も知らないくせに…!」
「えぇ…?」
俺の服の腕んとこ掴んだまま、ぽつぽつと原因を教えてくれる。
どうやら、そいつが"俺とまだツルんでる事"と"俺が留年してる"ってことを笑ったらしい。
ってことは、俺が何かしたんじゃなくて…俺のために怒ってくれたって事?
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