***
泉が家に来て、早10分。
ギリギリで俺のが早く帰って来れたんだけど、出迎えた泉の顔は不機嫌そのもの。
ムスッとしたままソファに座り、つけていたテレビを睨んだまま動かない。
「いーずみ? どーしたん?」
「……、チッ…」
何か言いたそうに口を開いたものの、聞こえてきたのは舌打ちだけ。
よっぽど腹立つことがあったのは、間違いなさそうなんだけど…?
「部活?」
「……違う」
「じゃあ、寄り道?」
「……チッ」
…どうやら、寄り道先で何かあったみたいだな。えーと、確か中学の時の同級生に会うとかって言ってたような…?
「喧嘩でもしたのかー?」
「…ムカつくんだよ、アイツ」
吐き捨てるように言った後、怒りを抑える為なのか 立ち上がってベッドにすっぽり潜ってしまった。
丸まった布団が何だか可愛くて、少し笑いながら俺もベッドの淵に座る。
しばらくポンポンと頭らへんの丸みを撫でると、モゾッ…と頭だけ出てきた。
「…ばかはまだ」
「え?」
「お前がバカだから、バカにされんだよ!」
「えぇっ!?」
な、何がどうだって?
驚いて聞き返すと、ガバッと布団を剥いでキッと睨んできた。
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