「好きになった"きっかけ"教えてよ。これなら覚えてるでしょ?」
「きっかけぇ?」

面倒くさそうに言いながら、ペン回しをして考えてる。俺もマネしてペンを回してると、しばらくして巣山が口を開いた。

「…結構前に、凹んでた時があってさ。そん時に…沖がいろいろとしてくれたっていうか」
「? 何かあったの?」

巣山が凹むようなこと、何かあったっけ?
全然気付かなかったけどなぁ…。

「あぁ、ちょっとな…。それで、俺が凹んでる理由なんて、沖は知らなかったんだけど。それでも、俺の周りをチョロチョロと動き回ってさ、一生懸命元気づけてくれて」

思い出しながら喋ってるのか、時折巣山に笑みがこぼれる。沖がチョロチョロって…ちょっと想像できるなぁ。

「その慰め方が何かおかしくて、俺もそこまで凹んでたわけじゃなかったから…すぐに元に戻ったっつーか」
「へーぇ…」

「そっから、何となく沖とつるむことが多くなって…本の貸し借りとか、カラオケ行ったりとか。そうこうしてる内に、気が付いたら…って感じだな」
「ふーん、そうなんだぁ」

巣山の話を聞きながら、俺も水谷との事をふと思い返しちゃったりして。
俺が好きになった"きっかけ"って、何なんだろう。一目惚れでもあったから、"出会ったのがきっかけ"ってことになるのかなぁ。


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