浜田が80円を入れて、いちご牛乳ボタンを押す。ガコンガコンと出てきたのは、…2つ?
「おっ!? 2個出てきた!」
「ま、マジかよ…」
自販機が壊れたのか、1回分の金で2個出てきやがった。それも、いちごとコーヒー牛乳の2種類。こんなことってあんの?
「やったー! 泉、1個あげる!」
「お、おぅ…サンキュー」
笑顔で手渡されたコーヒー牛乳を受け取ったものの…あれ? 相殺されてるんじゃなかったのか?
それとも、コイツの運気が俺のワーストよりも遥かに高いんだろうか。
「やっぱ1位効果だな!」
「そ、そうだな!」
俺は最下位なんだけどな…とは言わず、遠慮なくコーヒー牛乳にストローをさす。
すると、俺の持ち方が悪かったのか、勢いづいてストローからピュッと中身が出てきてしまった。
反射的に避けたものの、小さい飛沫が俺のシャツの裾を汚しやがった。
よりによってコーヒーだし、目立つじゃねぇか!
「あーあー、ほら行くぞ」
「え?」
ぐいっと手を引かれて連れて行かれたのは、男子トイレの水道んとこ。裾を引っ張って水で濯いでくれた。
うっすらとまだ染みは残ってるけど、これぐらいなら後の洗濯で落ちるだろうな。
まったく、こいつは俺の母親か。(…)
[*prev] [next#]
7/10
【目次・SR・TOP】