ますますイライラが募り、バンッと乱暴に鞄を机に置いたら、ガシャンと音を立てて筆箱から中身が飛び出した。
そうだ、さっき車を避けようとして転んだら、留め具がバカになってたの忘れてた。

「…ンの野郎!」
「どうしたの?」

明るい声で話しかけてきたのは、珍しく栄口で。朝から9組に来るなんて、もしかして初めてじゃねぇか?

「ああ、おはよ…」
「おはよー。何かスゴイ音したけど…」

爽やかな顔で心配されて、栄口にも俺の不運ぷりを聞かせてやった。
てっきり栄口も同情してくれんじゃないかって思ったのに、笑って筆箱の留め具を直してくれた。

「やっぱりねー。そうなんじゃないかって思ってたんだ」
「え? や、やっぱりって何だよ!?」

「今日の占い見た? 誕生日のヤツ」
「え? いや、見てない…」

最近『よく当たる!』って話題に出てる、某ニュースの誕生日占い。これは西暦と誕生日も合わせた占いで、365日占いって言われてるんだ。
血液型や星座とはワケが違う。もっと細かに分けられてて、それ故に当たるんじゃないかって言われてるんだ。

「たまたま見たらね、今日のワーストが泉の誕生日だったんだ。11月29日だったよね?」

「そ、そう…。え、俺がワーストなの?」

「うん。だって俺と生まれた年も一緒だしさー」

よし、っと言いながら筆箱を直して鞄に入れてくれた。
そうか、俺がワースト1位…。

ってマジかよ、最悪じゃねぇか!


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