「おっす阿部〜! 浴衣なんて着て、張り切ってるじゃん!」
「うるせー、黙れ」

「三橋、顔赤いけど大丈夫? 浴衣暑くない?」
「だいじょ うぶ!」

元々4人でとってた場所に、6人で座るのはちょっと狭い。
かといって、前後左右はすでに塞がれてるし…。

「じゃ、こうするか」
「え? …わあ!」

三橋を後ろ抱っこするみたいにして座ると、ただでさえ赤い三橋の頬が、もっと赤くなる。
並んで座るより、こうするのが効率いいだろ。
いやいや、下心じゃなくて、あくまで面積的の話だぞ。

「この暑いのに、よくやるな…」
「はないー! 俺たちもー!」

「ええぇ!?」
「ほらほら、早く!」

花井はマジで嫌がってたけど、田島の勢いに押され、渋々後ろ抱っこをしていた。
もちろんというか、クソレも同じように。栄口は必死に抵抗してたけどな。

「…あ、始まったー!」

田島が花井に凭れ掛かりながら、夜空を指さす。
白い光が勢いよく上空へ飛んでいき、大きな音と共に花火が上がった。

沸き立つ観客の歓声に応えるかのように、どんどん空が明るくなる。
咲いては散っていく花火は、もちろん綺麗だけど…何となく三橋の顔が見たくなって、もっと深く抱き込んでみる。

少し驚いたようにこっちを向いた三橋だったけど、すぐに可愛く笑った。
花火より三橋のが綺麗だ、なんて歯の浮くセリフが頭に浮かんだけど、クソレ達に聞かれたら嫌だから、言わないでおく。


[*prev] [next#]

6/8


目次SRTOP




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -