「おっす阿部〜! 浴衣なんて着て、張り切ってるじゃん!」
「うるせー、黙れ」
「三橋、顔赤いけど大丈夫? 浴衣暑くない?」
「だいじょ うぶ!」
元々4人でとってた場所に、6人で座るのはちょっと狭い。
かといって、前後左右はすでに塞がれてるし…。
「じゃ、こうするか」
「え? …わあ!」
三橋を後ろ抱っこするみたいにして座ると、ただでさえ赤い三橋の頬が、もっと赤くなる。
並んで座るより、こうするのが効率いいだろ。
いやいや、下心じゃなくて、あくまで面積的の話だぞ。
「この暑いのに、よくやるな…」
「はないー! 俺たちもー!」
「ええぇ!?」
「ほらほら、早く!」
花井はマジで嫌がってたけど、田島の勢いに押され、渋々後ろ抱っこをしていた。
もちろんというか、クソレも同じように。栄口は必死に抵抗してたけどな。
「…あ、始まったー!」
田島が花井に凭れ掛かりながら、夜空を指さす。
白い光が勢いよく上空へ飛んでいき、大きな音と共に花火が上がった。
沸き立つ観客の歓声に応えるかのように、どんどん空が明るくなる。
咲いては散っていく花火は、もちろん綺麗だけど…何となく三橋の顔が見たくなって、もっと深く抱き込んでみる。
少し驚いたようにこっちを向いた三橋だったけど、すぐに可愛く笑った。
花火より三橋のが綺麗だ、なんて歯の浮くセリフが頭に浮かんだけど、クソレ達に聞かれたら嫌だから、言わないでおく。
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