「…花井ぃぃい!!」

追いつくのが面倒だし、って事で、持ち前のデカイ声で呼んでみる。
充分聞こえたようで、花井がビクッと反応して振り返り、すぐに俺たちと目が合った。
三橋を含む、周囲の人間もビビってたみたいだけどな。

立ち止った花井に近づいていくと、やっぱりというか、田島も隣に立っていた。
しかも、三橋が食べたいと言っていたたこやきを両頬につめて、丸く頬袋が出来てる。それじゃ逆に食いづらいだろ…リスかお前は。

「よぉ、花井」
「お前な、デッケェ声で名前呼ぶんじゃねーよ…変な注目浴びたじゃねーか」

「あずさちゃんのが良かったか?」
「うっさい、黙れ」

「おー、いはひやん! ひへはんは!」
「うん、たじま君!」

頬の詰め物のせいでうまく喋れてない田島のセリフなのに、三橋は理解して嬉しそうに笑ってる。
理解力があるのかないのか、未だに謎だな。

「田島、ちゃんと飲み込んでから喋れ」
「んー!」

母親かコイツは。
…今に始まった事じゃねーか。

「おーおー、何か違うと思ったら、浴衣だなー! すげー!」

田島が珍しそうにしながら、俺と三橋の浴衣を交互に見比べてる。花井と田島は普通にTシャツだもんな。
俺もTシャツのが楽なんだけど、これも三橋の浴衣姿を拝む為だからな。
  


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