着いた所は、物が煩雑に置かれてる社会科資料室。
カーテンが閉まってて薄暗い中、壁にかけられてる時計で時間を計る。
帰りの時間も含めて、一緒にいられる時間は…あと4分くらいかな。

「なになに? ココに何かあるの?」
「ううん、いいから、ちょっとこっち!」

またグイッと引っ張って、中に押し込む。
ピシャッてドアを閉めたすぐ後、状況についてこれない顔をしてる水谷の腕の中に、勢いに任せて飛び込んでみた。

ぎゅぅうと力を込めて抱き着くと、半歩遅れて水谷が「ええぇえぇー!?」って驚いてる。
うん、相変わらずいいリアクションだね!

「ど、えぇ、なな何で…!」
「んん〜…」

水谷のリアクションを楽しんでる時間はないから、無視してぐりぐりと頭を押し付ける。
何でこんなに、水谷とくっついてると安心するのかな。
体中の疲れとか寂しさが、ふわっと消えていくみたい。

俺が無視してる事で、空気を読んだのか…水谷も強く抱き返してくれる。ついでに頭も撫でられちゃって、俺の機嫌はますます上昇していく。
はぁ、思い切って会いに来て良かった〜…!

「栄口ぃ〜…」
「ん〜…水谷ぃ〜…」

「このまま離れたくないよぅ〜…」
「おれも〜…」

俺もだけど、水谷もぽやんとしてるっぽい。
すっかり甘えモードになった俺たちは、お互いの体温を感じつつ くっつきまくった。
って言っても、ただ抱きしめ合ってるだけなんだけどね。


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