「で、二人は何かしてたん?」
「いや、何も。雑誌読んでただけッスよ」

梅が来た途端、泉君の雰囲気が少し柔らかくなったような気がする。
この二人、いつから仲良くなってたんだ?

「ただいまー!」
「あ、バカが帰ってきた」

陽気な声に誘われるように、泉君がてててと玄関まで出迎えに行った。
口調とは裏腹なその行動が ちょっと可愛いなと思ってると、見透かされたのか梅が肘で小突いてきた。

「可愛いだろ、泉君」
「え、お前が言うのかよ」

「俺も可愛がってんだー」
「へぇ、知らなかったな」

「浜田を間に挟めば、すぐにイケるよ」
「イケるって何だよ」

何のアドバイスだよ。
いや、仲良くなれるっていう話だろうけどな。

「…お! 梶梅じゃーん!」
「お邪魔してますー」

二人揃って返事をすれば、ほわほわと嬉しそうに笑ってる。
あぁ、今の浜田からはマイナスイオンが出てるな。どんなんか知らんけど。

「おわ、雑誌だ! おみやげ!?」
「あぁ、処分も頼むな」

「おお、サンキュー!」
「おい浜田、梅先輩からはコレもらったぞ」

キムチと漬物が入ったタッパーを見せながら報告する様は、『頂きものをすぐに主人に報告する妻』って感じだな。
こんなの言ったら、泉君に何されるか分からないから言わないけど。



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