沈黙のまま数分経った後。
唐突に「それ、楽しいスか?」って声をかけられた。
可愛いグラビアアイドルが微笑んでるページを見ていた俺は、「まぁまぁ楽しいよ」って返事をする。それに「ふーん…」って素っ気なく言われて…。
あれ、何か機嫌悪い?
「泉君は、こういうの見ねーの?」
「もう興味ないッス」
バッサリと切り捨てられ、少し怯む。
季節外れの水着姿を見て回復しようと 再度雑誌に視線を戻すと、「あのー…」ってまた話しかけられた。
「梶山先輩って、梅原先輩と付き合ってるんスよね」
「え、まぁ、そうだけど…」
「それでも、そーいうの好きなんスか?」
「いや、コレとソレは違うんじゃね?」
「どう違うんスか?」
「え、えぇ〜と…」
…何だか、浮気が見つかって問い詰められてる気分だ。
浮気してないし、相手は泉君なんだけどさ。
追い詰めてくるような視線を感じつつ、しどろもどろで弁解する。
簡単に言えば、梅原は「継続的に」、アイドルは「その場限り」の好きって事だ、と伝えれば、少しは納得したような顔で頷かれた。
「梅原先輩の事、ちゃんと好きなんスね」
「な、何を今更…」
乾いた笑いを浮かべてる俺とは反対に、泉君は満足したように笑った。
一応、梅原の心配してくれたんだろうか。
「雑誌、それは持って帰って下さいね」
「え、なんで?」
「アイツも、グラビアとか興味ないんで」
「…言うねぇ〜」
暗に、『俺にしか興味ない』って言いたいんだろうな。
見るからに負けず嫌いっぽいし…ていうか、不敵な笑みが怖すぎる。
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